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横浜地方裁判所第7民事部に対し申入れをしました。

神奈川労働弁護団は、2016年3月3日、横浜地方裁判所第7民事部に対し、労働審判において適切妥当な解決を図るための方策について、申入れをしました。


申 入 書

横浜地方裁判所第7民事部 御中

2016(平成28)年3月3日
                   神奈川労働弁護団
会 長  弁護士 福 田  護

司法の場における、労働者の権利・利益の適切な実現に向けられた貴部の日頃の活動に敬意を表します。
私たち神奈川労働弁護団は、神奈川県内に法律事務所を有する弁護士約140名で構成し、労働者及び労働組合の権利擁護を目的として活動している団体です。貴部の労働審判手続には当弁護団員の多数が関与しており、その運用について重大な関心を有するところであることから、当弁護団は、貴部における労働審判手続の運用について、以下のとおり申し入れるものです。

1 昨年7月3日に行われた横浜弁護士会における若手弁護士向けの研修会の中で、貴部の部長である田中寿生裁判官は、労働審判手続について、書証による厳格な事実認定を行っていては3回で解決することは困難であるとし、書証のうち陳述書だけは、これで精緻な事実認定を行うわけではないことから審判員に送付しているが、申立人の代理人が陳述書に書証を添付することは訴訟化しないという趣旨に反し、労働審判の弊害になると考えているので、このような例が増えるとなると、陳述書の取扱いについて再考せざるを得ない旨の発言をなさったと承知しております。裁判について素人である審判員には、証拠に基づく事実認定は無理だとの発言があったとも伺っています。
私たち神奈川労働弁護団としては、田中裁判官の発言後、貴部における労働審判手続の運用を注視してきましたが、昨年12月には当弁護団に所属する弁護士が申立人の代理人を務めた労働審判事件において、田中裁判官から当該弁護士に対し、第1回期日の冒頭、直接、陳述書に書証を添付することは止めて欲しい旨の発言がなされたとの報告を受けています。

2 言うまでもなく、労働審判手続は、「当事者間の権利関係」を踏まえて、紛争の実情に即した迅速、適正かつ実効的な解決を図ることを目的としています(労働審判法第1条)。審判として結論を示す場合にも、「当事者間の権利関係」を踏まえ、これについての2人の審判員の判断を含めた労働審判委員会としての判断が必要とされます(同法第20条第1項・第2項)。
当事者間の権利関係とは、証拠に基づいて事実認定を行い、法規範の当てはめを行って初めて明らかになるものだと承知しております。労働審判手続が「当事者間の権利関係」を踏まえることを紛争解決の前提としていることに鑑みれば、労働審判手続においても正確な事実認定の必要性を否定することはできないのであり、正確な事実認定を行うためには証拠の十分な検討を行う必要があることは言うまでもないことだと存じます。
 また、労働審判員には労働現場の実情に精通した労働組合関係者や企業の労務経験者等が就任しており、審判員を対象とした研修も行われているところですから、審判員は労働審判事件において、その知見に基づいて書証から事実を推認する能力を十分に有していると信頼すべきものです。
したがって、審判員を含めて、証拠に基づく事実認定を行い、法規範の当てはめを行った上で当事者間の権利関係を判断し、これを踏まえつつ当該紛争について適切妥当な解決を図ることは、労働審判法の趣旨に反するどころか、それこそが法の趣旨・目的を実現する所以だと考えます。

3 以上のことから、私たち神奈川労働弁護団は、貴部に対し、陳述書に添付された書証を審判員に事前に送付する現在の取扱いを維持するだけでなく、当事者から提出された書証について、その全てを審判員に事前に送付することを求めるものです。
 その上で、労働審判法の趣旨・目的を踏まえ、労働審判の告知に至る事件においては事実認定を含めた具体的な理由の要旨の告知を行い、調停によって終了する事件においても、証拠に基づく正確な事実認定を行い、当事者間の権利関係を明らかにした上で、適切妥当な解決を図られるよう、求めるものです。

以上


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